シール剥がしをプラスチックの素材に貼られたシールをはがすときに使うと、素材のプラスチックを溶かしてしまうのではないか心配ですよね。実際のところどうなのか?結論から言うと、その成分によってプラスチックを溶かすシール剥がしとプラスチックを溶かさないシール剥がしの両方があります。
また、プラスチックといっても材質に種類があり、プラスチックの材質によっても溶ける溶けないの差があります。
ただ闇雲にシールをはがす方法を試して、プラスチックを溶かして失敗しないためにも、どんな方法を使えばプラスチックを溶かさずにシールをはがすことができるのかを、事前に予備知識として知っておくことはとても大切です。
この記事では、どんな成分がプラスチックを溶かしやすいか?プラスチックのどの材質が溶けやすいかを解説し、どんな方法を使えばプラスチックを極力溶かさず傷めずにきれいにはがすことができるかを知ることができます。
これから、プラスチックに貼られたシールはがしを成功させたいという人に、読んでほしい内容となっています。
目次
プラスチックを溶かすには
プラスチックを溶かさないようにするには、逆にどんなものでプラスチックが溶けてしまうかを知ることが大切です。プラスチックがどうやって溶けるかを解説しながら、NGな方法を述べていきます。
熱を加える
プラスチックは熱に弱いです。プラスチックに熱を加えることで、変形したり溶けたりします。同様にシールの粘着剤も熱に弱いので、熱を加えてシールをはがす方法があります。たとえば、ドライヤーをあててシールをはがしやすくしたり、お湯でふやかしてはがすなどです。
このような熱を加えてシールをはがす方法は、プラスチックを変形させたり溶かしたりする恐れがあるので、プラスチックに貼られたシールをはがす方法としては、あまりおすすめできない方法です。
アセトンを使う
アセトンはマニュキアを落とす除光液の主成分です。除光液もシールはがしに有効な成分として知られていますが、これを使うとプラスチックを溶かす恐れがあり、実際に使うと白く変色してしまうことがあります。
このため、アセトンを含む除光液や有機溶剤系のシール剥がしを使うと、変色したり溶かしたりする恐れがあるので、プラスチックの素材に貼られたシールをはがすには適していません。
酢酸ブチルを使う
有機溶剤である酢酸ブチルもプラスチックを溶かしやすい成分です。酢酸ブチルは、強力なシール剥がし剤に使われていることが多く、酢酸ブチル入りのシール剥がし剤は、プラスチックは使用不可になっています。
同様に酢酸エステルも酢酸ブチルほどではないですが、プラスチックを溶かしやすく、酢酸エステルを使っているシール剥がし剤もプラスチックへの使用は避けたほうがよいでしょう。
リモネンを使う
柑橘類に含まれるリモネンは、シールをはがしやすくする成分として知られています。このリモネンも、プラスチックの材質にもよりますが、プラスチックを溶かす性質を持っています。なので、プラスチック素材への柑橘類の皮を使ったシールはがしは適していません。
また、濃度を濃くしたリモネンが含まれているシール剥がし剤もありますが、プラスチックを溶かす恐れがあり、プラスチック素材への使用はやめたほうがよいです。
プラスチックの材質による違い
プラスチックといっても種類があり、いろいろな材質のプラスチックが存在します。
主な種類として
- ポリエチレン(PE)
- ポリプロピレン(PP)
- ポリスチレン(PS)
があります。
このうちで、ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)は、比較的丈夫で溶けにくく、変形や変色をしにくいです。また、ペットボトルは、ポリエチレンテレフタラート(PET)で、かなり丈夫でしっかりしています。一方で、ポリスチレン(PS)は材質が弱く、リモネンに溶けてしまうのもこのポリスチレンになります。
このため、特に注意してほしいのは、材質がポリスチレン(PS)のときで、簡単に溶けて変形や変色をしてしまうので、シールはがしをするときは、十分気をつけなければいけません。だからといって、ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)が絶対大丈夫というわけではないので、プラスチック全般注意が必要なのは変わりありません。
プラスチックは、ほかにもいろいろな材質のものが存在していますが、主要な材質を取り上げました。あくまでも、シールをはがす際はテストをしながら剥がす慎重さが大切です。
プラスチックに貼られたシールをはがす方法
プラスチックに貼られたシールをはがす方法を2つ紹介します。
食器用中性洗剤を使う
食器用の中性洗剤に含まれる界面活性剤は、貼られたシールに水分を浸透させやすくしてくれるはたらきがあります。このため、食器用の中性洗剤をシールに浸すことでシールの粘着力が低下して剥がれやすくなるわけです。
食器用の中性洗剤であれば、プラスチックの素材に使ってもほぼ大丈夫です。ただし、食器用の中性洗剤の中にはオレンジオイルを配合しているものがあり、その中にリモネンが含まれているとプラスチックを溶かす原因になりますので注意が必要です。
シールのはがし方は、食器用の中性洗剤をシールのはがす部分に塗ります。そして、上からラップでパックして、およそ10分程度放置します。そうすることで、食器用中性洗剤がシールに浸透して、素材との間に入りこみ、きれいに剥がれます。シールがはがれたら、水でふいて洗剤をふきとります。
ハンドクリームを使う
ハンドクリームに含まれる油分が、シールの粘着力を弱めてくれるので、シールがはがれやすくなります。ハンドクリームもプラスチックの素材を傷めにくいので、プラスチックに貼られたシールをはがす方法の1つです。
ハンドクリームをシールの表面に塗り、およそ10分程度放置します。時間になったらプラスチックのヘラなどで、プラスチックの素材を傷つけないようにシールを剥がします。最後に布などできれいにふきとりましょう。
プラスチック素材に適したシール剥がし
ここまでにお伝えした2つのシールをはがす方法でも、プラスチックに貼られたシールがはがれないときは、プラスチック素材に適したシール剥がしを使うとよりはがれやすくなります。ここでは、3つのシール剥がし剤を紹介します。
ニチバン テープはがし プラスチック用

ニチバン テープはがし プラスチック用です。名前にプラスチック用と付いているくらいなので、プラスチックに使っても大丈夫な成分が使われています。ムース状なので、液だれしにくいのが特徴で、プラスチックに貼られたテープやシールをきれいに取り除けます。プラスチック素材以外にもタイルやガラスや金属などにも使えます。
成分:石油系炭化水素・IPA(イソプロピルアルコール)
超強力 ラベルはがし 雷神

AZ 超強力 ラベルはがし 雷神です。こちらもプラスチック素材に対応したシール剥がしになります。吹きかけるスプレータイプとハケで塗るハケ缶タイプがあります。プラスチックには対応していますが、念のため目立たない部分的なところでテストをするように注意書きがあります。
はがしたいシールに向けて約10cm~20cmほど離してスプレーし、1分~2分放置して浸透させた後、へらなどでめくり取ります。使用後は速やかにやわらかい布や紙で拭き取ります。下地に粘着剤が残った場合はもう一度スプレーして、柔らかい布や紙で拭き取ります。
成分:石油系溶剤・植物性油(LPG)業務用
コクヨ シールはがし スタンダードタイプ

コクヨ シールはがし スタンダードタイプです。プラスチックをはじめあらゆる素材に対応した万能型のシール剥がしです。プラスチックには対応していますが、念のため目立たないところで試し、異常がないか確かめるように注意書きがあります。シールにスプレーしてから、しばらく時間を置いて、付属のヘラではがします。
成分:ミネラルスピリット・LPG
まとめ
プラスチックはどうしたら溶けたり変形するかを確認しました。プラスチックの特徴として熱に弱く、アセトンやシンナーなどの有機溶剤にも溶けやすいです。また、シール剥がし剤にも使われている酢酸ブチルやリモネンもプラスチックを溶かしやすいことがわかりました。
プラスチックの材質もたくさんの種類がありますが、その中の主要な3種の材質について確認しました。ポリスチレンが溶けやすく弱い性質であること、一方で、ポリエチレンやポリプロピレンは比較的耐久性が強く、強い材質であることがわかりました。
プラスチックに貼られたシールをはがす方法として、2つの方法を紹介しました。1つは、食器用中性洗剤を使ってシールをはがす方法、もう1つは、ハンドクリームを使ってシールをはがす方法です。それでもダメなときは、専用のシール剥がし剤を使うとよいです。
プラスチックの素材に対応した3種類のシール剥がし剤を紹介しました。プラスチックに対応はしていますが、強い液体なので目立たないところで試してみるという用心さが大切です。
この記事では、プラスチックがどのようにしたら溶けるかを専門書のように網羅しているわけではありませんが、起こりうるであろう、おおよその原因については述べてきました。また、どのようにプラスチックに貼られたシールやテープをはがせばよいかも提示しました。
この記事を参考にしていただき、プラスチックの素材を傷めることなく、上手にシールをはがしてみてくださいね。